児童福祉法の一部を改正する法律等の公布について

(平成13年11月30日)
(雇児発第761号)
(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

 児童福祉法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)が第153回臨時国会において議員提案され、平成13年11月30日法律第135号として別添1のとおり公布された。その改正の趣旨及び内容等は下記のとおりであるので留意の上、法の施行に遺憾のないようにするとともに、関係市町村への周知等を図られたい。
 また、今回の法改正に伴い、厚生労働省組織規則(平成13年厚生労働省令第1号)の一部改正を行い、平成13年11月30日厚生労働省令第216号として別添2のとおり公布されたので留意されたい。
 なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言である。


第1 改正の趣旨
   保育需要の急速な増大を背景に認可外保育施設が増加し、認可外保育施設における乳幼児の事故が社会問題化していることに緊急に対応するため、また、都市化の進行等児童を取り巻く環境が大きく変化し、児童の健やかな成長に影響を及ぼす恐れのある事態が生じていることに対応するために、認可外保育施設(保育所と同様の業務を目的とする施設であって都道府県知事(指定都市及び中核市の市長を含む。以下第2の1、2及び4において同じ。)から認可を受けていないものをいう。以下同じ。)に対する監督の強化等、保育所整備促進のための公有財産の貸付け等の推進、保育士資格の法定化及び児童委員活動の活性化を図るものである。

第2 改正法の内容
1  認可外保育施設に対する監督の強化等
   認可外保育施設に対する届出制の導入、運営状況の定期報告の義務付け、改善勧告等の法定化により、認可外保育施設をより効率的に把握し指導監督の強化を図るとともに、認可外保育施設に関して事業者や都道府県知事が情報を提供することとし、保護者自身による保育サービスの適切な選択を担保し悪質な認可外保育施設の排除を図ることとされた。
(1)  届出制の導入
[1]  認可外保育施設(少数の乳幼児を対象とする施設その他の厚生労働省令で定めるものを除く。以下(1)及び(2)において同じ。)を設置した者は事業開始日から1ケ月以内に都道府県知事に届け出なければならないこととされた。(第59条の2第1項)
[2]  届け出た事項に変更が生じた場合及び事業を休廃止した場合も[1]と同様1ケ月以内に都道府県知事への届出が必要とされた。(第59条の2第2項)
[3]  [1]及び[2]の違反者(虚偽の届出をした者を含む。)は50万円以下の過料に処すこととされた。(第62条の2)
[4]  認可外保育施設に対する監督の強化等に関する部分の施行の際現に、認可外保育施設を設置している者については、施行後1ケ月以内に[1]と同様に都道府県知事へ届け出なければならないこととされ、違反者は[3]と同様に50万円以下の過料に処すこととされた。(附則第6条)
(2)  地域住民に対する情報提供
[1]  認可外保育施設の設置者による情報提供
 認可外保育施設の設置者はその施設の概要等を当該施設が提供するサービスを利用しようとする者の見やすい場所へ掲示しなければならないこととされた。(第59条の2の2)
 認可外保育施設の設置者は、その提供するサービスを利用しようとする者からの申込みに対し、契約の内容及びその履行に関する事項を説明するよう努めなければならないこととされた。(第59条の2の3)
 本規定により、認可外保育施設の設置者は当該施設におけるサービスの具体的な内容やサービス提供に関する責任体制等について説明するよう努めなければならないこととなった。
 認可外保育施設の設置者は、その提供するサービスについて利用契約が成立したときは、その利用者に対し、契約内容を記載した書面を交付しなければならないこととされた。(第59条の2の4)
[2]  都道府県知事による情報提供
 認可外保育施設の設置者は、毎年、運営状況を都道府県知事に報告しなければならないこととされた。(第59条の2の5第1項)
 なお、当該義務とは別に、従来どおり、都道府県知事は認可外児童福祉施設に対する報告徴収権を有するものである旨留意されたい。(第59条第1項)
 都道府県知事は、毎年、運営状況報告、報告徴収、立入調査等により、得た情報をとりまとめ、関係市町村長に通知するとともに、公表することとされた。(第59条の2の5第2項)
(3)  指導監督の強化
[1]  都道府県知事は、認可外児童福祉施設(児童福祉施設と同様の業務を目的とする施設であって都道府県知事から認可を受けていないものをいう。以下同じ。)の設置者に対して、報告徴収、立入調査、事業停止命令・施設閉鎖命令に加えて、改善勧告を行うことができることとされた。(第59条第3項)
[2]  当該施設の設置者が改善勧告に従わない場合には、都道府県知事はその旨を公表することができることとされた。(第59条第4項)
[3]  立入調査の対象に、事務所が加えられた。(第59条第1項)
[4]  児童の生命又は身体の安全を確保するため緊急を要する場合で、あらかじめ都道府県児童福祉審議会の意見を聴くいとまがないときは、その手続を経ないで事業停止や施設閉鎖を命ずることができることとされた。(第59条第6項)
(4)  都道府県と市町村の連携の強化
   認可外児童福祉施設に対する指導監督が都道府県の事務である一方、保育の実施については市町村の事務であることを踏まえ、都道府県知事は、事務の執行及び権限の行使に関し、市町村長に必要な協力を求めることができることとされた。(第59条の2の6)
 都道府県におかれてはこの趣旨を踏まえ、立入調査時に市町村保育士の同行を求める、認可外保育施設の運営状況報告や立入調査により得た情報を市町村を通じて公表する等市町村と連携を取り合い、指導監督に取り組まれるよう願いたい。
 なお、認可外児童福祉施設に対する指導監督については、地方自治法第252条の17の2に基づき市町村が事務処理を管理執行することが可能である。
2  保育所整備促進のための公有財産の貸付け等の推進
   認可外保育施設に関する問題の背景には、保育所の不足があることを踏まえ、保育所の供給拡大を図ることとされた。
(1)  市町村の措置
[1]  保育需要が増大する市町村においては、市町村自らの公有財産(学校、公営団地等の公共施設の余裕スペース、公有地等)の貸付け、保育所の運営業務の委託その他の措置を積極的に講じ、社会福祉法人等多様な民間事業者による保育所の設置運営を効率的かつ計画的に促進することとされた。(第56条の7第1項)
[2]  保育の供給拡大に当たっては、供給増の制約となる不合理な措置等を行わないよう留意の上、設置運営主体の如何を問わず適正な運営の確保に努められたい。
[3]  [1]に係る貸付先、委託先等の選定に当たっては、保育所が児童福祉を担う重要な機能を有していることに鑑み、手続の透明性、公正性に配慮されたい。
(2)  国及び都道府県の措置
[1]  市町村における保育の供給拡大のための各般の措置に対し、国及び都道府県は支援することとされた。(第56条の7第2項)
[2]  支援措置として、地方公共団体が所有する建物を民間事業者へ貸与する場合の保育所の整備に要する費用に対して国庫補助を行うことができることとし、これについては別途通知することとしている。
 また、国有財産特別措置法(昭和27年法律第219号)に基づき、国有財産を社会福祉法人及び地方公共団体に対して無償又は減額貸与、減額譲渡することができることとされている。
3  保育士資格の法定化
   保育士資格が詐称され、その社会的信用が損なわれている実態に対処する必要があること、地域の子育て支援の中核を担う専門職として保育士の重要性が高まっていること等を背景として、保育士資格が児童福祉施設の任用資格から名称独占資格に改められ、併せて守秘義務、登録・試験に関する規定が整備された。
(1)  定義について
   保育士とは、登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいうこととされた。(第18条の4)
 都市化、核家族化の進展に伴い、子育ての基盤となる家庭の機能が低下している中で児童の健全な成長を図るためには、児童福祉施設のみならず家庭でも適切な保育が行われる必要があることから、保護者に対して保育に関する指導を行うことが新たに保育士の業務に位置付けられた。
(2)  登録について
[1]  厚生労働大臣の指定する保育士を養成する学校その他の施設(以下「指定保育士養成施設」という。)を卒業した者又は都道府県知事が行う保育士試験に合格した者は保育士となる資格を有することとされ、保育士となる資格を有する者が都道府県知事の登録を受けることにより保育士となることとされた。(第18条の6、第18条の8、第18条の18)
[2]  成年被後見人等に該当する等一定の事由(以下「欠格事由」という。)に該当する者は保育士となることができないこととされた。(第18条の5)
[3]  保育士資格の法定化に関する部分の施行の際現に、保育士を養成する学校その他の施設として必要な条件を満たすものとして政令で定めるものは、指定保育士養成施設として指定されたものとみなすこととされた。(附則第3条)
[4]  保育士資格の法定化に関する部分の施行の際現に、保育士として必要な知識及び技能を有する者として政令で定める者は、保育士となる資格を有する者とみなすこととされた。(附則第4条)
(3)  保育士試験及び指定保育士養成施設について
[1]  保育士試験は従来どおり都道府県知事が行うものであるが、都道府県知事は、その判断により公益法人に試験事務の全部又は一部を委託することができることとされた。(第18条の9)
[2]  試験事務を受託した法人の役職員等には、試験事務に関して守秘義務が課され、違反者は1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処することとされた。また、罰則の適用については公務員とみなすこととされた。(第18条の12、第60条の3)
 その他試験事務を委託する場合についての必要な規定が整備された。(第18条の9から第18条の17まで、第61条の3)
[3]  保育士の養成の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、厚生労働大臣は指定保育士養成施設に対して、報告徴収等とともに、帳簿書類等を検査できることとされた。(第18条の7)
 なお、当該帳簿書類検査権は立入調査までを認めたものではない。
(4)  名称独占等について
[1]  保育士でない者は、保育士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならないものとされ、違反者は30万円以下の罰金に処すこととされた。(第18条の23、第61条の2)
 保母、保父などは保育士と紛らわしい名称であり、保育士でない者が使用することは禁止されるものである旨留意されたい。
[2]  保育士資格の法定化に関する部分の施行の際現に、保育士として必要な知識及び技能を有する者として政令で定める者であって登録を受けていないもの(欠格事由に該当する者を除く。)については、施行後3年間は、[1]の適用がないこととされた。(附則第5条)
[3]  保育士は、保育士の信用を傷つけるような行為をしてはならないこととされた。(第18条の21)
[4]  保育士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならないこととされ、違反者は1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処すこととされた。(第18条の22、第60条の2)
[5]  都道府県知事は、[3]又は[4]に違反した者の保育士の登録を取り消すことができることとされた。(第18条の19第2項)
(5)  資質の向上について
   現行法第48条の2において乳幼児等の保育に関する相談に応じ、助言を行うことが保育所の努力義務とされていることを踏まえ、保育所に勤務する保育士は、乳幼児に関する相談に応じ、助言を行うための知識及び技能の修得、維持及び向上に努めなければならないこととされた。(第48条の2第2項)
4  児童委員活動の活性化
   児童を取り巻く環境の変化を踏まえ、地域において児童が安心して健やかに成長することができる環境を整備するため、児童委員の職務の明確化、主任児童委員の法定化及び児童委員の資質の向上を図ることとされた。
(1)  児童委員の職務の明確化
   児童委員は、次に掲げる職務を行うこととされた。(第12条の2第1項)
[1]  児童及び妊産婦につき、その生活及び取り巻く環境の状況を適切に把握しておくこと。
[2]  児童及び妊産婦につき、その保護、保健その他福祉に関し、サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助及び指導を行うこと。
[3]  児童及び妊産婦に係る社会福祉を目的とする事業を経営する者又は児童の健やかな育成に関する活動を行う者と密接に連携し、その事業又は活動を支援すること。
[4]  児童福祉司又は福祉事務所の社会福祉主事の行う職務に協力すること。
[5]  児童の健やかな育成に関する気運の醸成に努めること。
(2)  主任児童委員の法定化
[1]  厚生労働大臣は、児童委員のうちから、主任児童委員を指名することとされた。(第12条第3項)
[2]  [1]の指名は、民生委員法(昭和23年法律第198号)第5条の規定による推薦によって行うものとすることとされた。(第12条第4項)
[3]  主任児童委員は、児童委員の職務について、児童の福祉に関する機関と児童委員との連絡調整を行うとともに、児童委員の活動に対する援助及び協力を行うこととされた。(第12条の2第2項)
[4]  平成13年12月1日の前に民生委員法第5条の規定により都道府県知事及び民生委員推薦会が行った推薦において、主任児童委員が明示されている場合には、これにより主任児童委員を指名できることととされた。(附則第9条)
(3)  児童委員の研修
   都道府県知事は、厚生労働大臣の定める基準に従い、児童委員の研修に関して計画を作成し、これを実施しなければならないこととされた。(第13条の2)
(4)  厚生労働省組織規則の一部を改正する省令について
   主任児童委員の指名に関する事務を地方厚生局に委任するため、地方厚生局保健福祉課の所掌事務に「主任児童委員の指名に関すること」を追加することとした。(厚生労働省組織規則第711条第1項第17号)
5  施行日
(1)  認可外保育施設に対する監督の強化等に関する部分(第2の1)は、公布後1年以内に施行することとされた。(附則第1条第3号)
(2)  保育所整備促進のための公有財産の貸付け等の推進に関する部分(第2の2)は、公布日から施行することとされた。(附則第1条第1号)
(3)  保育士資格の法定化に関する部分(第2の3)は、公布後2年以内に施行することとされた。(附則第1条第4号)
(4)  児童委員の活性化に関する部分(第2の4)は、平成13年12月1日から施行することとされた。(附則第1条第2号)

第3 その他
1  今後、改正法に基づき、認可外保育施設に対する監督の強化等に関する部分や保育士資格の法定化に関する部分に関して、施行日を定める政令の制定や、児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号)、児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)等の政省令の改正を行うこととなるが、認可外保育施設に対する届出制の導入や保育士の登録事務等に関して、都道府県・指定都市・中核市において準備期間が必要であること等を考慮し、できる限り早い時期に改正を行うこととしている。
2  認可外保育施設に対する監督の強化等に関する部分や保育士資格の法定化に関する部分の施行については、本通知とは別に、施行に当たっての留意点について、通知を発出することとしている。